大判例

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大阪地方裁判所 昭和55年(ワ)1220号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

大阪府公害防止条例では、住宅地域の騒音について、午前六時から午前八時までは五〇ホン、午前八時から午後六時までは五五ホン、午後六時から午後九時までは五〇ホン、午後九時から翌日の午前六時までは四五ホンと定められており、振動については、午前六時から午後九時までは六〇デシベル、午後九時から翌日の午前六時までは五五デシベルと定められているところ、本件では、騒音は六三ないし七三ホン、振動は四四ないし六一デシベルであつた。原告は、右騒音、振動を理由に不法行為による損害賠償を請求したが、右請求は棄却された。

【判旨】

二そして、右事実と、<証拠>を総合すると次の事実を認めることができる。

1 被告は、昭和四八年ころから被告土地においてガス管敷設工事に伴つて生じた残土の積下し、集積作業を行うようになつたが、同五一年ころまではその規模も小さく、またその作業も重機類を使用せずに行つていたため、騒音や振動が問題となることもなかつた。

2 その後、被告は、昭和五二年ころから被告土地を前記工事の埋戻用のまさ土(川砂、山土)や掘削した残土等の集積場所として使用するようになり、同土地には、まさ土や残土の搬入、搬出のため二トントラックの外一〇トンダンプカーが出入するようになり、また、その集積や積込、積下し作業のため、当初はTCMフォークリフトやランドメードを、同五四年ころからはキャタピラ付のブルドーザーを使用するようになつた。

3 被告土地での右作業は、週日の午前八時ころから同九時三〇分ころの間の二、三〇分間にまさ土等をトラックに積込む作業を、夕方には同様に残土等を積下したり、集積する作業をそれぞれ行い、また日中も同様の作業が行われることが時々あり、さらに四、五日おきに一〇トンダンプカー二台位がまさ土を搬入し、残土を搬出するなどのため出入りするというものであつた。なお、夜間や日曜日にも右のような作業が行われることもあつたが、その回数は一か月数回位であつた。

4 原告は、昭和五三年ころに被告土地での作業がやかましいと被告に苦情を言い、その後同五四年六月ころ守口市公害課に善処方等の申入れを行つたことから、そのころ同課職員が調査や被告への善処方の申入れを行つたことがあつた。そして、被告は、騒音、振動の最大の元兇が前記ブルドーザーの作業であり、また作業を原告土地に近隣することで行うことがその影響を増していることを指摘されたりしたことから、同年九月ころブルドーザーの使用をやめ、また作業を原告土地の反対側で行うようにした。

5 原告は、昭和五四年六月一九日から同年八月二八日までの間騒音、振動測定器で前記作業の騒音、振動の測定(騒音五回、振動四回)をしたが、その結果は、騒音は、被告土地に面した本件建物二階で窓を開けた状態での室内騒音レベルが六三ないし七三ホン(中央値((九〇パーセントレンジ))の最低五六ホン、最高八一ホン)であり、振動は、被告土地との境界付近の地上での振動レベル(八〇パーセントレンジの上端値)が四四ないし六一デシベルであつた。

なお、被告は、被告土地での右作業を同五五年五月五日ころやめたが、そのころ同土地の整地作業を行い、この間の右作業の振動レベルは五六ないし六三デシベルであつた。

以上の事実が認められる、これに反する<証拠>は採用できず、他に右認定を左右するに足りる十分な証拠はない。

三ところで、請求原因3(原告土地付近の大阪府条例による騒音、振動の規制値)は当事者間に争いのないところ、前認定の事実によれば、被告土地での作業は、昭和五一年ころまでは騒音、振動とも右規制値を超えるようなことはなかつたものの、同五二年以降一〇トンダンプカーの出入りやフォークリフト、ランドメードによる作業が行われるようになつてこれが増大し、さらに同五四年にブルドーザーによる作業が加わつて、その際の騒音が右規制値を相当超えるようなことがあつたこと、しかし、振動が前記規制値を超えたことはほとんどなく、またその超える程度も極めてわずかであつたことが認められる。

そして、前認定事実及び弁論の全趣旨によれば、原告の測定した騒音、振動は、原告がその最も大きいと考えた時を見計らつて測定したものであると推認され、にもかかわらず、その測定日時は前記の期間(約二か月半)で五回又は四回と間歇的であつて、騒音が規制値を大きく超えるような場合はそう多くはなかつたと考えられること、しかも被告土地での右のような騒音、振動が発生する作業は、一回二、三〇分間、一日多くても数回であると認められ、これらの諸事実等に鑑みると、被告土地での騒音が前記規制値を相当超えることがあつたからといつて、これが直ちに社会通念上受忍限度を超えて違法性を帯びると認めることは未だできず、また振動は最大でも右規制値をわずかに超えることがまれにあつたに過ぎないのであるから、これまた受忍限度を超えているとはいえないと解するのが相当であり、他に右判断を左右するに足りる事情を認めることのできる的確な証拠はない。  (矢村宏)

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